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この記事の目的
『岳』(石塚真一)は、北アルプスを舞台にした山岳漫画の金字塔。救助の現場から見える「生と死」「人間と自然」を描いた感動作です。自然への向き合い方を一緒に考えていきましょう。
基本情報
タイトル:「岳」
作者:石塚真一
ジャンル:スポーツ、日常
掲載:「ビッグコミックオリジナル」(小学館)
巻数:18巻(完結)
はじめに
作者は後に『BLUE GIANT』で音楽をテーマにした大ヒットを飛ばしていますが、その原点ともいえる「人間と自然、そして生死」を真正面から描いた作品が『岳』です。
本作の主人公は島崎三歩(しまざき・さんぽ)。彼は世界の山々を踏破した伝説的クライマーであり、現在は北アルプスを中心に山岳救助ボランティアとして活動しています。華やかな冒険譚というよりは「山と人間の関わり」をテーマにしており、遭難者救助、登山客の心理、山の厳しさと優しさがリアルに描かれています。

山の気持ち良さやさしさ、厳しさ、残酷さ、全部詰まってる
登る人たち一人一人にドラマがあるね
あらすじ

物語は、北アルプスでの遭難救助を通して展開していきます。島崎三歩は、常に笑顔を絶やさず、登山者や仲間に「よく頑張ったね」と温かい言葉をかける人物。しかしその裏には、数多くの遭難、仲間の死、自然の残酷さと向き合ってきた過去があります。
彼は登山客の命を救うため、雪崩、吹雪、落石といった危険な現場に果敢に飛び込みます。ときには救えない命もあり、その度に葛藤や無力感に苛まれるものの、それでも「山は素晴らしい」と語る姿勢を崩しません。
一方で、三歩を支える救助隊員や、彼に憧れて山に挑む若者たちとの交流も物語を彩ります。登山者一人ひとりの背景や人間模様が描かれることで、単なる山岳漫画ではなく「人間ドラマ」としても高く評価されています。
キャラクターの魅力
島崎三歩
主人公であり、作品の中心人物。豪快で明るい性格ながら、山の恐ろしさを誰よりも知っている人物です。彼の「よく頑張ったな」というセリフは、読者の心にも深く刻まれる名言。死を見届けることもある立場にありながら、決して絶望に呑まれず「生きる喜び」を見失わない姿が魅力的です。
椎名久美
救助隊に所属する女性。三歩の活動を間近で見ながら、彼の考え方や強さに影響を受けていきます。プロフェッショナルとしての自覚と、人間らしい葛藤の間で揺れる姿がリアルに描かれています。
遭難者たち
一話ごとに登場する遭難者や登山客の存在も、この作品を形作る重要な要素です。無謀な登山、準備不足、人生の転機を求めた挑戦など、動機や背景はさまざま。その一人ひとりに丁寧な物語が与えられている点が『岳』の深みを支えています。

雪山は準備しっかりしていこう
山の表情は変わりやすい
命大事に
山は「無常」と「尊厳」を教える教室
1)無常と反復:自然に勝たない、でも背を向けない
山は人間の都合を待ってくれない。気象は変わり、地形は崩れ、昨日の常識が今日の非常になる。『岳』は「自然に勝つ」のではなく、無常を前提に折り合いをつける生き方を提示する。三歩の笑顔は、無常を知ったうえでの肯定だ。
2)救助の倫理:ヒーロー物語にしない誠実さ
救助は成功しても失敗しても重さが残る行為。作中は「助ける側の正義」を美談化せず、リスク評価・撤退判断・隊の安全を繰り返し描く。そこに専門職の倫理がある。
3)「よく頑張ったな」の意味:結果よりも過程への眼差し
死者にも生者にも等しく向けられる三歩の言葉は、結果の是非ではなく、そこまで歩いた過程を尊ぶ姿勢の表れ。人の尊厳を守る言葉として響く。
4)共同体の学び:個の挑戦を、複数の肩で支える
山は単独行の舞台でも、救助は共同体の仕事。通信・搬送・判断の連携が描かれ、“一人で登っても、独りではない”という人間観が現れる。
5)準備と限界:安全とは「確率を下げ続ける工夫」
装備・天候判断・撤退の勇気。安全はゼロリスクではなく、確率を減らす積み重ねだと示す。読者はフィクションを通して、現実の登山倫理(準備・情報・技術・体力・撤退)を学べる。
6)生と死の両面:自然は残酷で、同時に美しい
救えない命に直面しても、山の美しさを否定しない。悲しみと憧憬が同居する視点が、作品を“消費的感動”から一段引き上げている。
絵柄と雰囲気

石塚真一の絵柄は、写実性とシンプルさのバランスが取れています。山岳描写は緻密で、雪山の冷気や断崖の迫力がページから伝わってくるようです。一方でキャラクターは柔らかい線で描かれ、人間らしい温もりを感じさせます。この対比が「厳しい自然と温かな人間」のコントラストを際立たせています。
全体の雰囲気としては、シリアスな救助場面と、日常的な温かいやり取りのメリハリが効いており、読み手を自然と引き込みます。
印象に残ったシーン
『岳』には数多くの名シーンがありますが、その中でも印象的なのは「救えなかった命に対して三歩がかける言葉」です。彼は泣き崩れる遺族や仲間に対し、決して「自分のせいだ」と責めることなく、「よく頑張った」「最後まで登りきった」と言葉を贈ります。このセリフは単なる慰めではなく、死者への敬意と生者への希望を込めたものとして心に響きます。
また、救助の合間に三歩が山を見上げて「やっぱり山は素晴らしい」と呟く場面も、多くの読者にとって忘れられないシーンとなっています。

山でのご飯は美味しいよね
生きる原動力は食事から
こんな人におすすめ
- 山岳漫画や自然をテーマにした作品が好きな人
- 感動的な人間ドラマを求めている人
- シリアスな状況の中でも前向きなメッセージを感じたい人
- 登山やアウトドアに興味がある人
- 生と死のリアルを考えたい人
類似作品
- 『神々の山嶺』(夢枕獏・谷口ジロー)
山岳文学の金字塔ともいえる作品。より重厚で哲学的な山の姿を描く。 - 『孤高の人』(坂本眞一)
実在の登山家をモデルにしたフィクションで、孤独と挑戦の極限を表現。 - 『BLUE GIANT』(石塚真一)
同作者によるジャズ漫画。ジャンルは異なるが「挑戦と成長」を描く姿勢は共通している。
Q&A
Q1: 登山経験がなくても楽しめる?
A1: はい。専門的な用語は出てきますが、解説も丁寧で人間ドラマが中心なので初心者でも読みやすいです。
Q2: 救助シーンは現実的?
A2: 非常にリアルです。実際の山岳救助に基づいた描写が多く、リアリティと緊張感があります。
Q3: ハッピーエンドが多い?
A3: 必ずしもそうではありません。むしろ「救えない命」も多く描かれます。しかしその中で希望を見出すことが本作の魅力です。
まとめ

『岳』は単なる登山漫画ではなく、「人間が自然とどう向き合うか」「死をどう受け止めるか」を描いた作品です。島崎三歩というキャラクターの存在は、読者に「人はこんなに優しく、強くなれるのか」と思わせる力を持っています。
山岳救助という特殊な舞台を通じて、人間の普遍的なテーマを描いた珠玉の名作。それが『岳』です。

人と人との支えあい。
山登りを通じて考えさせられるドラマがある。
全体を通しての感想
山に登る人たちのヒューマンドラマに見入ってしまいました。作者の他作品である、BLUE GIANTもですが、この作者の作品は人の温かみや力強さに目を見張るものがあります。自分もこんな人に会ってみたいと思えるキャラクターばかりで、作品もとても面白いですね。
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